
はじめに:言いたくても言えない…進行がん患者と家族の間に横たわる「壁」
進行がんと診断された私たち患者は、日々身体的な苦痛だけでなく、精神的な孤独とも闘っています。特に病状の深刻さや将来的な見通しについて家族に自分の口から伝えるのは本当に難しい。
「心配させたくない」「暗い顔をさせたくない」という思いから、つい言葉を濁してしまい結果的に家族との間にすれ違いが生まれてしまうことはないでしょうか?私の妻も私が病状の深刻さを伝えようとすると、機嫌が悪くなったり、話を逸らしたりすることがありました。しかし、病気の現実は待ってはくれません。
先日主治医からの呼びかけもあり、主治医と緩和ケアチームに私の現在の状況と今後の希望を、妻に伝えてもらう診察の場を設けてもらいました。
この記事で最も伝えたいことは、がん患者が自分から家族に伝えづらい深刻な病状の進行でも、医療のプロから伝えてもらうことで、家族と治療のベクトルを合わせられるということです。
この記事を読んでほしい人
- 進行がん(S状結腸がん・転移など)の治療中で、病状の悪化を家族にどう伝えるか悩んでいる方
- 抗がん剤治療と並行して、緩和ケアチームのサポートを受けようか迷っている方
- がん治療の「言葉の壁」に悩むあなたへ
この記事を読んでわかること
- なぜ患者本人が家族に病状を伝えられないのか、その心理的な壁
- 緩和ケアチームや主治医を交えることが、いかに家族のベクトルを合わせるのに効果的か
- 私が医師から告げられた最も怖い合併症(胆管炎)と、それに対する家族の役割
- 「痛みや苦しみから解放されたい」という終末期への希望を家族と共有する大切さ
- はじめに:言いたくても言えない…進行がん患者と家族の間に横たわる「壁」
- 癌患者と家族の「言葉の壁」を壊す!主治医・緩和ケアチームとの同席診察
- まとめ:がん患者と家族が同じベクトルを持つための「プロの介入」という選択
癌患者と家族の「言葉の壁」を壊す!主治医・緩和ケアチームとの同席診察
11/4 血液検査の結果と主治医からの「怖い話」
先日受けた血液検査の結果では炎症系の値や胆管系の値は落ち着いていて良好でしたが、残念ながら腫瘍マーカーの値は上昇していました。これは10/22のCT画像の結果と矛盾しない、がんが進行している事実を突きつけるものでした。
私はこの結果を妻に話すのが億劫でした。しかし、主治医は率直に私たちに伝えました。
主治医からの言葉:
「血液検査は腫瘍マーカー以外は改善傾向ですのでフリュザクラは継続しますが、一番怖いのは胆管炎です。がんの進行により細かい胆管が閉塞され炎症が起こった場合、手の施しようがない可能性があります。この胆管炎は近日中に発生する可能性もあり、発症した場合は進行が早く死に至るまでが早いということを知っておいてください。」
この言葉は、妻にとっても私にとっても強烈でした。しかし、曖昧な不安ではなく具体的なリスクをプロから告げられたことで、「本当に待ったなしの状況なんだ」という現実を共有できました。

緩和ケアチームを味方につける:私の「最期の希望」を妻へ
次に緩和ケアチームの面談です。「緩和ケア」というと、治療を諦めたときというイメージがあるかもしれませんがこれは大きな誤解です。
国立がん研究センターのサイトにもある通り、緩和ケアは「がんと診断された時から身体的・精神的な苦痛を和らげることを目的として行うケア」です。治療の有無にかかわらず、QOL(生活の質)を上げるために、早い段階から活用すべきなのです。(出典:国立がん研究センター「緩和ケアとは」より)
ここで私は、自分一人では言い出せなかった以下の切実な希望をチームから妻に伝えてもらいました。
- 「痛みと苦しみから解放されたい」
- 「人に迷惑をかけたくない」
- 「死ぬ時は医療機関で迎えたい」
私の言葉ではなく、第三者である緩和ケアのプロから伝えてもらうことで、妻は冷静にこれを受け止めることができました。
妻の正直な気持ちとベクトルの合致
特に重要だったのは、この後の妻の言葉です。
妻の言葉
「私が意識がなくなった時に、正しい判断をする自信が無い」
この一言で、私たちが共有すべきは「不安」ではなく、「今後の治療や最期に関する明確な方針」なのだと確信しました。私が抱えていた「妻に伝えて嫌がられたらどうしよう」という不安の壁は、プロの介入によって取り払われたのです。
私の正直な想い
がん患者である私本人は、痛みや苦しみはあっても、死を迎えたらそこで終わりです。しかし、がん患者家族には、患者が亡くなった後も、精神的な痛みや苦しみが残ります。妻を始めとする家族が後悔や罪悪感を抱えることがないよう、今のうちから私の希望を明確に共有し、最善の選択肢を一緒に選んでおくことが、私にできる最後の「迷惑をかけない」ことだと強く感じました。
まとめ:がん患者と家族が同じベクトルを持つための「プロの介入」という選択
私自身の体験を通して、今回の診察が私たち夫婦にもたらした最大の価値は「同じベクトルを持つこと」でした。
- がん患者のメリット: 自分の口から言いにくい「最期の希望」や「病状の深刻さ」を、医療のプロフェッショナルから客観的に、しかし温かく伝えてもらえる。
- がん患者家族のメリット: 患者が隠していた「真実」を知ることで、曖昧な不安ではなく具体的な現実に向き合い、がん患者と近い位置から希望を叶えるための協力者になれる。
もし今、あなたが病状のことで家族に話せず苦しんでいるなら、ぜひ主治医や緩和ケアチームに相談し、「家族同席の場を設けてほしい」と依頼してみてください。これはがん患者が、がん患者家族に対して行える最も責任ある行動の一つだと私は考えています。
そして、がん患者とがん患者家族が近い位置に立ちベクトルをあわせる事で本当の協力者になれるのではないかとも思っています。
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